ボトックス注射
ボトックス注射とは
下肢・上肢の痙縮に対しても健康保険が適用されるようになりました
ボトックス注射(ボツリヌス療法)は、これまで、顔面麻痺や痙性斜頸などで健康保険が適用されていました。
しかし2014年から、下肢・上肢の痙縮(けいしゅく)に対しても、健康保険が適用されるようになりました。
痙縮とは、脳卒中や頭部の外傷、脊髄損傷などが起こる運動障害の1つで、「手足が動かしにくい」「手足が勝手に動く」などの状態を指します。
主な症状として、手指が開かない、肘が曲がる、足先が裏側に曲がるなどが現れます。
このような症状により、異常な姿勢が続くと、関節の動きが制限されて、日常生活に支障をきたすようになります。
茨木市のきずな友愛クリニックでは、痙縮で苦しんでおられる患者様へ、注射の資格を有した医師が、適切にボトックス注射を行います。
ボトックス注射の有効成分について
ボトックス注射(ボツリヌス療法)では、筋肉を緊張させている神経の働きを抑制する作用がある、「ボツリヌストキシン(ボツリヌス菌が生成する天然のたんぱく質)」を有効成分としています。
そのため、筋肉の緊張を緩和させる効果が得られます。
ボトックス注射の効果
ボトックス注射には、副作用や、注射時の痛みが少ないなどのメリットがある一方、費用がかかる、効果の持続期間が短い(3ヶ月程度)、麻痺などの症状に対する根本的な治療ではないなどのデメリットもあります。
しかし、内服薬や手術など、他の治療と比べても遜色はない治療方法です。
ボトックス注射の期待できる効果として、次のようなものが挙げられます。
日常生活動作(ADL)の改善
筋肉の緊張が緩和されることで、職位、着替え、移動、入浴、排せつなどの日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)が行いやすくなります。
リハビリテーションが行いやすくなる
手足の筋肉の緊張が緩和されることで、動作が行いやすくなり、リハビリテーションもしやすくなります。
拘縮が予防できる
筋肉が固まって、関節の運動が制限されることを「拘縮(こうしゅく)」といいます。
ボトックス注射では、この拘縮の予防効果が期待できます。
痛みの緩和
痙縮を改善させることで、痛みを緩和させることが可能となります。
介護者の負担軽減に繋がる
痙縮を改善させることで、介護者の負担軽減に繋がります。
ボトックス注射の流れ
ボトックス注射の効果の持続期間は、3ヶ月程度です。
そのため、年に数回、定期的に注射する必要があります。
注射する部位は患者様によって異なり、1回で数箇所に注射することもあります。
なお、効果の持続期間には個人差がありますので、適切に診断したうえで、治療計画を立てていきます。
治療スケジュールの目安
1. 治療計画を立案
現在の患者様の状態や、症状などを詳しく確認したうえで、適切な治療計画を立案します。
2. 注射
初回の注射を行います。
3. 受診・次回注射の予約
初回の注射後、経過を観察し、次回の注射時期を検討します。
4. 2回目の注射
2回目の注射を行います。
以後、3~4ヶ月の間隔(※患者様によって異なります)で、③と④の流れを繰り返します。